彼氏と彼女の抱く絶対的な秘密。
#2 告白されました
‐ある日‐
「友紀ちゃん、図書室に雛先生の最新の本入ったんだって!次自習だし、行かない?」
『えーっ、ホントに!?雛先生の!?行く行く!』
雛-hina-先生は、あたし達の仲良くなるきっかけの小説家。
恋愛小説が作品の主で、あたしは読むたびにハラハラ、キュンっに惑わされる。
『最新作って言ったら…、なんだろ?長編かな?』
図書室に向かう途中で、雛先生の作品の話をする。
「ん?…いや…、図書室の先生に聞いたら、短編集って言ってたよ?」
『短編集?…あっ、じゃぁ【color】の4って事!?』
【color】というのは短編集のシリーズ。
「そうなるね!私【color】の1だけは読んだんだけど、他はまだ読んだことないんだよね。短編集だから読んでなくても平気だよね?」
『うん、全然大丈夫だよ!あたしはね~、本屋さんに2しか売ってなかったから2は買ったんだけど、1.3は中学の頃図書室で読んだんだ。4、楽しみ!』
「…あっ!そういえば、同じシリーズを何冊か一緒にって言ってたから、2とか3とか入るのかな!じゃぁ私、そっち先借りるから、友紀ちゃん先に4、読んでね!」
『えっ、あ、うん!ありがと!』
そういうと、杏梨はふふっと優しく笑った。
「読んでいいよ」とは言わない。
「読んでね」って言う。
なんだかそこに遠慮とは何かが違う優しさがある。
杏梨はそういう子だ。
あたしはそんな杏梨だから仲良くなれた。
そんな気がした。