彼氏と彼女の抱く絶対的な秘密。
「なんだ…起きてたの?寝てたと思った」
『寝てたよ。でも、カーテンの音で…』
「カーテン?…ああ、先生が閉めた音か…」
亜優がちら、と保健室の時計を見る。
あたしも見る。
長い針は、11。
短い針は、もうすぐ6。
『…5時55分?』
「…ぞろめ」
別に驚きもしないように、亜優が呟く。
『あたし…そんなに寝てたの?』
「みたいだね。…樹月さんは昼休みから友紀を見てないって探しに来てたし…、日岡は昼休みに話してからどっか行ったって言ってたし…。昼休みからここに居るんだろ?」
『う、…うん』
「先生怒ってたらしいよ。…橘がサボリだー、って」
『…そっか』
続く会話は、少し低く感じた。
テンションというものが、存在しない様な感じ。
やけに、『…』が多い気がする。
「……帰ろうか?」
『……だね』
なんだか二人とも、気遣っている様。