彼氏と彼女の抱く絶対的な秘密。
始まらない会話
義務的に繋がれた手
あたしは亜優が好きなの?
ときめかない胸に聞いても返ってこない答え。
前までは棒読みでも「うん」って返ってきたのに。
それさえなくなってしまった今。
「他に好きな人がいるんじゃない?」
………思い浮かぶのは、いつもあの顔。
天使のネックレスの似合う、あの子。
おかしいとは思ってる。
だってあの子は、女の子。
あたしだって、女子。
でも違う、そんなんじゃなくて。
そんなの関係なくて。
そんなんじゃない何かに。
何かに、あたしは………。
義務的に繋がれた手から伝わってくる、亜優の体温にその思いを惑わされる。
きっと亜優が同じ状況なら、亜優も同じようにあたしの体温に惑わされているだろう。
何か、見えない鎖でがんじがらめにされたような。
世間常識とか、普通とか、周りの目とかに縛られて。
亜優を裏切りたくない、まだ先の罪悪感を怖れて。
「…友紀、」
この状況を変えたのは、亜優だった。
「………俺の事、好き?」