彼氏と彼女の抱く絶対的な秘密。
…7年後…
『ほら、亜優!見て!見つけた!!』
「なんだよ、友紀。荷物ちゃんと運べって、まだあるだろ」
『いいから見てよ、ほら!!』
あたしの手に持った写真には、まだ若かったあたし達がうつってる。
だけど、友紀と亜優としてじゃない。
「ははっ、こん時かよ!!ほぼ俺の黒歴史なんだけど!はははっ!!」
『懐かしいよねー!皆まだわっかいねぇ!』
それは高校の卒業式の写真。
あたしと亜優が、純香達と例のメイクの友達によって、ユウキとアユミとして写った皆での写真。
『純香若-い!今、バリバリのキャリアウーマンとは思えない!』
「でも、こんときから樹月さんしっかり者だったじゃん」
『違うって、島崎 純香だよ。樹月さんじゃない!』
純香は、大学時代でようやく恋を実らせた。
そして結婚もして、幸せそうだ。
『笑莉はあんまり変わらないなぁ、…元気かな?』
笑莉は今、デザイナーでフランスに滞在している。
成人式以来会っていない。
「お、日岡。びっくりするよな、今小説家だもんな」
『実際言っちゃうと、昔から小説家だけどね』
卒業式――、菜喜が明かした秘密。
実は自分は、〝雛〟という名前で小説を書いている、と…。
なんと、あたしは菜喜のファンだったと判明した。
『あ、カズにい。それにまーさん。とーさん、紗恋ちゃん…みんな懐かしい~っ!』
あたしの家族たち、それに紗恋ちゃん。
カズにいは普通にサラリーマンで、まーさんは弁護士。
とーさんもサラリーマン、紗恋ちゃんと結婚して、今1歳の娘がいる。
『杏梨、ちゃんと本業見つけたかなぁ?』
杏梨は、現在本屋さんでバイトしているらしい。
実際フリーターだから、必死に就活してるみたい。
みんな懐かしい。
もちろんあたし達も。
『ねぇ、亜優。今はこの頃の事、もう思い出なんだね』
「な」
『あたし達の〝秘密〟も、もう笑い話だね』
「だな」
背中を向けた亜優が、笑ったのが分かった。
あたしと亜優が抱いていた絶対的な秘密
その秘密が笑い話になった今まで、あたし達は一緒にいる
そしてこれからも…
「ほら、いい加減荷物運べよ。せっかくの新居なんだから、さっさとやってゆっくりしようぜ」
『はいは~い』
「これからもよろしくな、奥さん」
『もちろん!!!』
*END*