合図で走れ
これが彼女との出会い
「貴方は普通じゃないです。」
………………は?
「そうですか?」
「はい。だって、あんな化け物を前にして平然でいられるなんて普通じゃない。」
ああ。そっか。
「世の中、色んな人間がいるんですよ。」
「…………適当ですね。」
「ハハハ。まぁ上がってって下さいよ。もしかして、この後用事でも?」
女は目を瞑り、深く深呼吸した。
気のせいだろうか。
彼女の赤いメッシュが淡く、そして妖しく光を放った気がした。
やがて目を開けると彼女は明るく言った。
「無いです。」