合図で走れ
「もう遅いですし泊まって行きませんか?さっきのお礼です。」
「え!?」
「取って食うようなことはしませんよ。」
冗談で言ったつもりなのに彼女は赤面して眉を八の字にしていた。
なにそれ可愛い。
「冗談ですよ。さ、上がって下さい。」
2人も入ったら床抜けんじゃね?
いやいや大丈夫。
「発情期になんて冗談を言うんですかぁ!おじゃまします!お世話になります!!」
5人までは入っても平気だ。
多分。
「あ、今日が締切って書いてある。」
日めくりカレンダーを見つけたようだ。
「俺、作家なんですよ。ほら。」
すっかり乾いたコーヒー色の原稿用紙達を指差す。