ハツコイ*
「いっ...しょ?」


「俺は、まきと違ってお父さんいるけど....
俺の親もずっと働いてて、俺もいっつもひとりだぜ?」


「さみしく...ないの?」


「寂しくないぜ!俺いつも冒険してんだ!」


「ぼうけん...?」


「おう!」


アタシが首をかしげてると男の子はアタシの手をひっぱる。


「ほら!そしたらまきとも出会えただろ?だから寂しくない!」ニコッ


「であえた....うんっ、寂しくない」ニコッ


「だろ?」ニコッ


なんて強い子なんだろうと思った。


お母さんとケンカしたことも小さく思えた。


「アタシ、そろそろ帰らなきゃ....」


「あ、ちょっとまってて!」


そういうと男の子は向こうのほうへ走って行った。


そうすると優しそうなおじいさんが話しかけてきた。


「お坊ちゃまと遊んでくださってありがとうございます、
まき様。あれでもお坊ちゃまは寂しがり屋なのですよ」クスッ


「....。」


「今日のお坊ちゃまはほんとうに楽しそうでした。
あれでも、さっきまでお母様に叱られて泣いていたのですよ?」クスッ


「アタシと...いっしょ...」


「それなのに、泣いていらっしゃるまき様を
励されていて、笑ってしまいました」ニコッ

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