紙ヒコーキとアオイくん
「え、えっと、こう?」
アオイくんに指示された通りの構えをしながら、あたしは彼に訊ねた。
それを受けて、彼はこくりと頷く。
今のあたしは、セーラー服のままではあるけど彼から皮の手袋?のようなものを借りて、弓道の基本的な動作を教えてもらっていた。
ていうか、き……きつっ!
普段運動なんかしないから、こうやって構えをとって静止してるだけでも、なんだかプルプルしてくるよ。
「そう。そのまま、今度は矢をひいてみて」
「え?! ちょ、待って、どう……っ」
「あー。そうじゃなくて、こう」
言いながらアオイくんが、あたしの背後に立った。
そしてそのまま──至極自然な動作で、後ろから腕をまわしてくる。
ふわりと、柔軟剤の香りがして。
どくん。心臓が、大きく鳴った。
「こっちの手は、こうして……」
「………」
自分のすぐ後ろからまわされた手が、あたしの手に重なって誘導する。
アオイくんとあたしは、背の高さがそれほど変わらなくて。身長160㎝のあたしに対し、きっと彼は、165㎝くらいなんじゃないかと思う。
だからその分、こうして並んだあたしと彼の顔の距離は、意図せずともどうしても近くなってしまう。
だけど──そんな事情に反し、今自分の手に重ねられているそれは、明らかに『男の子』のそれ。
あたしは柄にもなく、どうしてだか顔を熱くさせていた。
アオイくんに指示された通りの構えをしながら、あたしは彼に訊ねた。
それを受けて、彼はこくりと頷く。
今のあたしは、セーラー服のままではあるけど彼から皮の手袋?のようなものを借りて、弓道の基本的な動作を教えてもらっていた。
ていうか、き……きつっ!
普段運動なんかしないから、こうやって構えをとって静止してるだけでも、なんだかプルプルしてくるよ。
「そう。そのまま、今度は矢をひいてみて」
「え?! ちょ、待って、どう……っ」
「あー。そうじゃなくて、こう」
言いながらアオイくんが、あたしの背後に立った。
そしてそのまま──至極自然な動作で、後ろから腕をまわしてくる。
ふわりと、柔軟剤の香りがして。
どくん。心臓が、大きく鳴った。
「こっちの手は、こうして……」
「………」
自分のすぐ後ろからまわされた手が、あたしの手に重なって誘導する。
アオイくんとあたしは、背の高さがそれほど変わらなくて。身長160㎝のあたしに対し、きっと彼は、165㎝くらいなんじゃないかと思う。
だからその分、こうして並んだあたしと彼の顔の距離は、意図せずともどうしても近くなってしまう。
だけど──そんな事情に反し、今自分の手に重ねられているそれは、明らかに『男の子』のそれ。
あたしは柄にもなく、どうしてだか顔を熱くさせていた。