紙ヒコーキとアオイくん
その日1日の授業が終わって、放課後になった。
「(テスト勉強するために、今日こそはまっすぐ家に帰らなきゃなあ……)」
こんなあたしでも、頭の中で一応はそう考えるのだけど……ローファーを履いた足は自然と、ここ最近ですっかり歩き慣れた弓道場への道を進んでいってしまう。
ああ、なんて意志の弱い自分……けど仕方ないよね。だってあの場所、すごく居心地がいいんだもん。
誰にともなく心の中で言い訳をしながら、あたしは校舎裏の道を歩いた。
そうして見えた弓道場には、すでにアオイくんの姿があって。
あたしは先週の出来事から、ちょっぴりドキドキしながら、彼が立つ射場へと近付いていった。
袴姿の彼がこちらに気が付いたらしく、構えていた弓矢をおろす。
「……春日先輩、今日も来たんですか」
アオイくんが、少しだけ驚いたような顔をして呟いた。
──ちくん。
どうしてだろう。そんな彼の言葉は、聞き慣れていたはずなのに……心の奥が、なぜだか小さく痛んだ。
「(テスト勉強するために、今日こそはまっすぐ家に帰らなきゃなあ……)」
こんなあたしでも、頭の中で一応はそう考えるのだけど……ローファーを履いた足は自然と、ここ最近ですっかり歩き慣れた弓道場への道を進んでいってしまう。
ああ、なんて意志の弱い自分……けど仕方ないよね。だってあの場所、すごく居心地がいいんだもん。
誰にともなく心の中で言い訳をしながら、あたしは校舎裏の道を歩いた。
そうして見えた弓道場には、すでにアオイくんの姿があって。
あたしは先週の出来事から、ちょっぴりドキドキしながら、彼が立つ射場へと近付いていった。
袴姿の彼がこちらに気が付いたらしく、構えていた弓矢をおろす。
「……春日先輩、今日も来たんですか」
アオイくんが、少しだけ驚いたような顔をして呟いた。
──ちくん。
どうしてだろう。そんな彼の言葉は、聞き慣れていたはずなのに……心の奥が、なぜだか小さく痛んだ。