紙ヒコーキとアオイくん
「はーあ」



盛大にため息を吐いて、ぷらぷら、紙ヒコーキを持った右手を窓の外でぶらつかせる。

外からは、元気な蝉の声。ふと視線を上げたら、青空を切り裂くような、白い飛行機雲を見つけて。

その鮮やかな光景に、どうしてか無性に、やるせない気持ちになる。



「──あ~~っもう!」



突然大きな声を出したあたしに、隣りの杏子がビクッと肩を震わせた。

あたしは紙ヒコーキを顔の高さに掲げ、1歩、左足を後ろに退く。



「ちょっ、由宇?!」

「こんなものーっ!」



ぐんっ、勢いよく、右手も後ろに退いた。

そしてそのまま、手首のスナップをきかせるように、今度は前につき出す。



「……あーあ」



自分のすぐ横から、呆れたような呟きが聞こえる。

窓の外へと飛ばした紙ヒコーキは、一瞬ふわりと空に向かって上昇しかけて。

だけどすぐ、まっ逆さまに落下していった。



「あっ、ちょっと由宇、あれ……っ」

「え、わ、うああーっ」



そしてその、落下していく先。

ちょうど、正面玄関から出て左側。そこを歩く、生徒の姿が──。
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