紙ヒコーキとアオイくん
再会はプチ尾行より
「それじゃあまた明日ね、杏子」
「またね由宇。帰り道知らないおじさんにアメもらってもついていっちゃダメよ」
「あたしは子どもか」
あの“紙ヒコーキ追突事件”から、数日。
今はすでに放課後。職員室に用があるという杏子と2階の中央階段で別れ、あたしはひとりで生徒玄関へと向かっていた。
かばんを肩にかけ直しながら、ふう、と息をつく。
とりあえず、進路希望調査票は自分の学力にあった適当な大学の名前を書いて、昨日無事(?)提出したけど。
……でも、あの男の子。
紙ヒコーキぶつけちゃった1年の子には、悪いことしちゃったなあ……。
もやもやそんなことを考えながら上靴をローファーに履き替え、生徒玄関から外に出る。
すると前方に、なんだか見覚えのある後ろ姿を見つけて。
思わず「あ、」と小さく声がもれた。
「(あれは……っこないだあたしが紙ヒコーキぶつけた男の子だ!)」
間違いない。少し癖のある黒髪に、しゃんと伸びた背中。
そして何より、今日も手にしているなんだかよくわからない細長い荷物。
『春日さ~おまえやればできる子なんだからさ~そろそろ本気出して何事にも積極的に励んでくれよ~』
昨日の放課後、職員室で調査票を渡した際に、担任からゆるーい口調で言われたせりふを不意に思い出した。
あたしはぐっと、かばんを掴む手に力を込める。
あの、進路希望調査票の一件で。やっぱり小木ちゃんには、こってりしぼられてしまった。
あの男の子にも、改めてキチンと謝罪しなければ……!
「またね由宇。帰り道知らないおじさんにアメもらってもついていっちゃダメよ」
「あたしは子どもか」
あの“紙ヒコーキ追突事件”から、数日。
今はすでに放課後。職員室に用があるという杏子と2階の中央階段で別れ、あたしはひとりで生徒玄関へと向かっていた。
かばんを肩にかけ直しながら、ふう、と息をつく。
とりあえず、進路希望調査票は自分の学力にあった適当な大学の名前を書いて、昨日無事(?)提出したけど。
……でも、あの男の子。
紙ヒコーキぶつけちゃった1年の子には、悪いことしちゃったなあ……。
もやもやそんなことを考えながら上靴をローファーに履き替え、生徒玄関から外に出る。
すると前方に、なんだか見覚えのある後ろ姿を見つけて。
思わず「あ、」と小さく声がもれた。
「(あれは……っこないだあたしが紙ヒコーキぶつけた男の子だ!)」
間違いない。少し癖のある黒髪に、しゃんと伸びた背中。
そして何より、今日も手にしているなんだかよくわからない細長い荷物。
『春日さ~おまえやればできる子なんだからさ~そろそろ本気出して何事にも積極的に励んでくれよ~』
昨日の放課後、職員室で調査票を渡した際に、担任からゆるーい口調で言われたせりふを不意に思い出した。
あたしはぐっと、かばんを掴む手に力を込める。
あの、進路希望調査票の一件で。やっぱり小木ちゃんには、こってりしぼられてしまった。
あの男の子にも、改めてキチンと謝罪しなければ……!