TRICK of FATE ~キミと出会えたコト~
昨日はあんなに自信持って言えたのに...
『好き』って言うのって、恥ずかしいもんだな。
「聞こえなーい」
春が棒読みで言った。
「だ、だって...」
私はまた俯いて目を反らした。
「聞こえない、なんて言ったの。」
さらに春が近づいて、唇がちょんちょん触れたり離れたりする。
春の息が唇に吹きかかる。
「もう一回、聞こえるようにきちんと言って?」
心臓がバクバクを通り越してバックンバックンしてる。
喋るのもままならないかもしれない。
「好、き...」
恥ずかしいけど、一文字一文字、丁寧に。