TRICK of FATE ~キミと出会えたコト~
「おおー、ここら辺は完璧だな」
「ありがとー!」
数学で私が分からなかったところが全部理解できたー!
ホント、春教えるのうまいなぁー...
まあ、さっきはハラハラしたけど...
「あ、もう7時半じゃん」
何気なくケータイを開いた春は時計を見て声をあげた。
「そろそろ帰る?」
「うん、杏もそろそろ夕飯食べるでしょ?」
「うーん、そーだねぇ。」
「じゃあ...、帰るかー」
春が帰り支度を始めた。
「秀は、どーするー?」
「ひっ、秀くんは...!...あのっ、もうちょい古文で教えるとこあるから...」
春の質問に杏は焦った様子で答えた。
あはは。杏、おもしろー。
私がクスッと笑って、隣を見ると、なんと春も少し笑いをこらえているようだった。
「うん、じゃあ先に帰るね!」
私と春は立ち上がって杏の部屋から出て、1階の玄関に向かった。
杏とすれ違うとき、小声で「がんばっ」と言うと杏は珍しく赤面した。
杏、かわい~
「じゃあ、ばいばーいっ」
「うん、また学校でね~」
ふと秀くんを見ると秀くんも頬が少し赤かった。