TRICK of FATE ~キミと出会えたコト~




「あれは、完全にデキるな。」


帰り道、春はいきなり呟きはじめた。


「杏は秀くんにメロメロっぽいからねぇ」


「秀もかなり杏っつーヤツに惚れ込んでるな」


あ、やっぱそうなのかぁ...


なんか、いいカップル誕生しそう~


「秀のヤツ、やっとお遊びやめそうだな。」


やっぱ秀くんも女の子と遊んだりしてたんだ...


でも、これからは杏一筋なんだろーなぁ。


......って。


「『やっとお遊びやめそう』って、春だって女の子と夜な夜な遊びまくってたでしょー」


「あ、まぁな。でも、過去形じゃん。『遊びまくってた』だろ。」


やけに『まくってた』を強調して言った。


「まあ...ね。」


私は春から目を反らして反対側を向いた。


「俺は今は、っつーか今からずぅーっと凜だけが好き。」


ボッ


今の一言で一瞬にして私の顔は火が着いたように熱くなった。


11月の中旬。


冬が近づいて空気がひんやりし始めたはずにもかかわらず、私の顔の体感温度は真夏並み。


私は恐る恐る視線を春の方へやった。


春の目と私の目がバッチリ合った。




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