TRICK of FATE ~キミと出会えたコト~




心臓がドクドクと異常な音を立てる。


少し息が苦しくなる。






「家、着いたぞ?」


春の後ろには...私の家。


そうです。杏の家から私の家はとてつもなく近いんです。


ああ...何言われるかと思ってついドキドキしちゃった。


私は拍子抜けしてふぅーなんて息を思い切り吐いた。


「お、送ってくれてありがと...。じゃ、じゃあまた...?!」


『またね』という言葉を遮って春は私を抱き締めた。


「???...しゅ...ん?」


ここ...外だよぉ~...


恥ずかしさと照れで身体中が熱を帯びる。


「俺...凜がめっちゃ好き。」


抱き合ってるから、春の口と私の耳が近くて、喋ると息が吹きかかる。


うう...心臓が...ドクドクが...止まんない...


少し春が離れて、私と目を合わせた。


「さっきの続き、したい」


『さっき』がなんのことか分からなくて、私は首を傾げた。


「え、なんのこ...?!」


春はいきなりキスをしてきた。


軽い、触れるだけのキス。


『さっき』ってそういうことかぁ...


「なんのことか、わかった?」


春がいじわるな笑みを浮かべて私に訊いた。


春...S...


私は自分でもわかるくらい頬を赤らめて俯いた。


「凜、顔真っ赤。街灯のあかりでバレバレだよ」


わ、わざと言うな~


「こっち、向いて?」


私の顎に手をかけて、クイッと春の方を向かせる。


その仕草が色っぽくてまた、鼓動が高鳴る。



< 130 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop