TRICK of FATE ~キミと出会えたコト~
心臓がドクドクと異常な音を立てる。
少し息が苦しくなる。
「家、着いたぞ?」
春の後ろには...私の家。
そうです。杏の家から私の家はとてつもなく近いんです。
ああ...何言われるかと思ってついドキドキしちゃった。
私は拍子抜けしてふぅーなんて息を思い切り吐いた。
「お、送ってくれてありがと...。じゃ、じゃあまた...?!」
『またね』という言葉を遮って春は私を抱き締めた。
「???...しゅ...ん?」
ここ...外だよぉ~...
恥ずかしさと照れで身体中が熱を帯びる。
「俺...凜がめっちゃ好き。」
抱き合ってるから、春の口と私の耳が近くて、喋ると息が吹きかかる。
うう...心臓が...ドクドクが...止まんない...
少し春が離れて、私と目を合わせた。
「さっきの続き、したい」
『さっき』がなんのことか分からなくて、私は首を傾げた。
「え、なんのこ...?!」
春はいきなりキスをしてきた。
軽い、触れるだけのキス。
『さっき』ってそういうことかぁ...
「なんのことか、わかった?」
春がいじわるな笑みを浮かべて私に訊いた。
春...S...
私は自分でもわかるくらい頬を赤らめて俯いた。
「凜、顔真っ赤。街灯のあかりでバレバレだよ」
わ、わざと言うな~
「こっち、向いて?」
私の顎に手をかけて、クイッと春の方を向かせる。
その仕草が色っぽくてまた、鼓動が高鳴る。