TRICK of FATE ~キミと出会えたコト~




がちゃ。


「凜ちゃん...話があるんだ...」


和くんが私の部屋に入ってきた。


何となく、なんのことかわかった。


「う、うん...」


私はさっきみたいにまた俯いた。


「凜ちゃん。こないだのコト。そろそろ返事を聞かせて...?」


和くんは私の前に座って私の顔を覗きこむ。


...きちんと、言わなきゃいけない。


私は、春が好きだから。


「私は...和くんの気持ちに答えられない。」


私は前を、和くんの目を見て言った。


「私、付き合ってる人がいるの。和くんが告白してくれたときも、付き合ってた。ごめんなさい。私、保留なんかにして。」


和くんは表情を曇らせずに真剣に聞いてくれてる。


「そっか。そりゃあ、そーだよなぁ。凜ちゃんだって彼氏くらいいるよなぁ。永也とのこと乗り越えて父さんと凜ちゃんのお母さんとの結婚賛成できたのも彼氏のおかげだよなぁ。そうだよなぁ...。」


和くんは後ろに手をついてつぶやいた。


「幸せになれよ。」


そういって、和くんは私の頭をポンポンした。


和くん...ごめんなさい、ありがとう。


私はこの二言を何度も心のなかで繰り返した。




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