一日で君を好きになる
「鈴木さん!」

名前を呼ばれてハッとした。

声が聞こえた方を見ると、扉の方で早瀬君が一人で立っていた。

「早瀬君…」

座ったままで、私は目を真ん丸にさせた。

「なんつー顔してんねん!」

そう言って笑うと、彼は教室に入ってきて、私とマヤの方に近づいてきた。

「鈴木さんと今日、文化祭一緒にまわるって約束しとった?」

そして、マヤの隣に立ち、マヤにそう聞く早瀬君。

「え、う、うん」

急に早瀬君に話しかけられたマヤは、かなりびっくりして戸惑っている。

「ごめんやけど、今日だけでええし、俺と鈴木さん…二人にさせて欲しいねん。俺な、鈴木さんに告白してんか。でもな、このままやったら俺多分振られるっぽいねん。やし、今日、俺と一日一緒に過ごしてから返事して欲しい言うてん」

「えええ?え?う、うん…。え?ええ?」

私と早瀬君の顔を交互にキョロキョロ見ながら、マヤはテンパる。

分かるよマヤ。

ナイスリアクションだよ。

私だって、かなり戸惑っているもん。

だって、これ、多分夢じゃなさそうだし。
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