tender dragon Ⅲ
半強制的に連れていかれる春斗は、金欠だと言いながらも少し嬉しそうだった。
仲良いなぁ。
「チビ、希龍さんに近寄るなよー」
玄関にいたチビに向かってそう言うと、春斗は葉太の後を追って出ていった。
希龍くんが椅子から降りないのは、チビがいるせいだった。
猫アレルギーな希龍くんはチビを初めて見た日、黙ったまま自分の部屋に閉じこもってしまった。
蒼空くんが希龍くんの服を着てチビを触ってたから、チビはすっかり希龍くんの匂いを気にいってしまって…
擦り寄ってきてしまう始末。
「ふーん…」
「何?」
「何でもないよ。」
雑誌をペラペラと捲ってる。希龍くんはそんなもの読まなくたって、何をしてもドキドキしてしまうのに。