tender dragon Ⅲ
「俺は後で不機嫌になった時の希龍さんの方が恐ろしいですけどね。」
そんなあたしたちの会話を聞きながら微笑む安田さんは、やっぱり大人だ。
「無視しとけばいいのに。」
「葉太さんは無視しすぎですよ。」
春斗の言う通り。
まるで見えてないみたいに通り過ぎるから、女の子たちも、えっ?って顔してるもん。
まぁ、葉太のことだからほんとに聞こえてないのかもしれないけど。
「まぁでも、確かに希龍は優しく対応しすぎかもな。多分無意識だろうけど。」
黙っていた安田さんが言った。
無意識であの行動をとってしまうなんて、魔性にもほどがある。