tender dragon Ⅲ
「夜、何食べたい?」
「んー、じゃあカレー。」
ソファにいるチビをチラッと見て、遠くにいることを確認してから椅子から降りた。
「俺も手伝うよ。」
開きっぱなしの雑誌にはハートマークがたくさん見えたけど、内容は見えない。
タケくんの雑誌だから、きっと参考になるようなことは書いてないんだろうけど。
「甘口だよね?」
「うん、甘口。」
久しぶりの2人きりだった。
いつもこの家には誰かがいる。あたしは毎日いるけど、希龍くんがいない日だってあるから。
一緒にいてドキドキすることに変わりはないし、希龍くんの態度だって前とあまり変わらない。
いつでも余裕があるように見えた。
「希龍くん、さっきの雑誌どうだった?」