tender dragon Ⅲ
スッと指をすり抜けた指輪は、あたしの指にピッタリすぎて驚くほどだった。
「これは予約ね。」
「予約…?」
「うん、いつかちゃんとプロポーズするときのための予約。」
ほんと、どこ国からきた王子様なの。
恥ずかし気もなくこんなセリフを言えちゃうような人、なかなかいないよ?
「貰ってくれる?」
優しい希龍くんの口調に、気づかない内に自然と笑みがこぼれていた。
断る理由がある?
こんなに嬉しいことはない。
「もちろん!」
勢いよくギュッと抱きつくと、しっかりと受け止めてくれる。
左手の薬指の指輪がキラリと輝いた。
‐END‐