tender dragon Ⅲ
「…知りたい?」
少し考えるような素振りをしたあと、壁にトンッと寄りかかって笑った。
何だか色っぽくて、目を反らす。
タケくんの雑誌の内容なんて知りたくないけど、希龍くんは何だか楽しそうだった。
「…や、やめとく…」
きっとろくなことじゃない。
「何で?」
一歩一歩、近づいてくる。
それだけで心臓が暴れだした。
微笑む希龍くんはうつ向いたあたしの顔を覗き込んで、頬をつつく。
「…唇、噛んじゃダメだよ。」
後ろにはキッチン、前には希龍くん。
あたしの両脇に手をついて、逃げ場を無くした。思わず目をつむる。
「教えてあげるよ。」
なんて言ってクスリと笑うんだから。