tender dragon Ⅲ
「大丈夫だよ。ただのカフェだし、何もないから心配しないで?」
「美波には危機感が足りないからなー」
なんて言われて、今までのことを思い出せば返す言葉もなかった。
「…気をつけます」
クスッと笑ってテレビを点けた希龍くんは、やっぱりいつでも一枚上手。
焦るのはいつもあたし。
「何?」
ジーッと見つめるあたしの視線に気づいて、不思議そうに聞いてくる。
「…何でそんなに余裕なの?」
希龍くんが焦ってるとこ見たことないもん。
「美波には余裕そうに見えてるの?」
「うん。違うの?」
「んー、あ、そうだ。」
なんて呟いたあと、あたしの手を引っ張って自分の左胸へと当てた。