tender dragon Ⅲ

キッチンについていた右手に、希龍くんの左手が絡む。もう片方の手は、あたしの髪をサラサラと撫でた。


「ねぇ、美波。」

近い、近い。

ジリジリ迫ってくる希龍くん。

「な、何…?」

額同士がコツンとぶつかった。

甘い香りが鼻を擽る。


「…希龍くん…?」

甘ったるい空気。

…心臓、破裂しそう…


「よそ見とか許さないよ。」

「え…?」


低くて掠れた声が耳元で聞こえた。

頭がクラクラする。


「美波は俺だけ見てればいいんだよ。俺も美波のことだけ見ててあげるから。」

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