夏休みのとある1日
「片桐くん、なんで此処に…」
「ちょっと用事があって…。藤沢は何してんの?」
そう言いながら、片桐くんは私のところに来る。
「あ、そうだ。片桐様、助けてください」
「片桐様?(笑)」
私は片桐くんにお願いして、数学を教えてもらうことにした。
「で、何処がわかんないの?」
片桐くんは、私の隣に座ってテキストを覗き込む。
「…これです」
そう言って、私はさっきまで見つめていた問題を指す。
「よし。これは、ルートの中の数字が同じときに足すことが出来て……」
片桐くんは、「こんなのも出来ないのか」とか嫌味も言わず、優しく丁寧に、わかりやすく教えてくれた。