夏休みのとある1日
静かな図書室には、私と片桐くんだけ。
分からない問題がある時だけ、片桐くんと話す。
それ以外、私が問題に取り組んでいるとき、片桐くんは文庫本を読んでいる。
チラッと目だけで見ると、片桐くんは顔を動かさず目だけで文を追っているのがわかる。
……かっこいい。
長い睫毛にニキビが1つもないほど綺麗な肌、えりあしの短い黒髪。
ホントに整った顔だなぁって思う。
すると、私の視線に気づいたのか、片桐くんはこっちに目を向ける。
「ん?どっか分からないとこある?」
「あ、ううん」
あわわっ…気づかれてしまった。
「何、読んでるのかなと思って…」
苦し紛れに、こんな適当なこと言ってしまった。
「これ?読んでみる?」
「いや、いいかな」
見るからに難しそうだし。