ヘタレなヤクザさん
ヘタレヤクザ1
ヤクザさんは女嫌い
「女嫌いを直す?」
学校帰り、いつも通り何も変わらない一日。
しかしそれは放課後までで、帰宅した家の前には真っ黒な、悪目立ちすぎる外車。それがもはや疎遠ともいえる幼馴染みの物であるとすぐにわかった
久しぶりの幼馴染みと嬉しくもない感動の再開と思えば、気づいたら彼の家にいて
相変わらずの大きな家に、なんだか入りづらい。
「そう、葵さんに頼みたいんですよ」
「…はぁ」
大広間に通されたかと思えば待ち受けていたのは着物を着た落ち着いた様子の老人、陵介の父親。
そしてなにより加賀未組の現組長である
「勿論。陵介に関わる以上は部下の者を常時つけ、送迎も車でさせてもらいます。葵さんに危険があったら親御さんに申し訳ないからですからね」
「い、いえそんなお構い無く…」
(だから帰らせてくれ…!)
正直、陵介にはもう関わりたくなかった。
子供の頃と違い、ヤクザについての知識が嫌でもついてしまったのだ
(ドラマとか本の見すぎなのかもしれないけど)
「堅気の葵さんを巻き込むのはよくないのですが、葵さん以上に陵介と親しい、頼める女性がいないのです」
だからお願いします、そうヤクザの当主に頭を下げられてしまえば、私は断ることなんて怖くてできなかった。