好きになったのは、一匹狼でした。
「あんた、平気?」
「えっ、あっ……」
梶野くんに話しかけられた途端、焦ってただ首を縦に振った。
だって、なんだか、彼がかっこよく見えて。
心配そうにあたしを見つめる姿に、キュンときた。
「あっ、あっ」
「あ?」
「あ、あああ、あああぁぁぁあ!」
“ありがとうございました”が言えなくて、“あ”を叫びながら走って逃げたあたし。
これが、梶野くんの優しさを見つけた瞬間。
きっと、梶野くんはこんなこと覚えてないかもしれないけど。