好きになったのは、一匹狼でした。
「そう?でも見てなかった?」
「いえ!まーったく!」
「そうかなぁ……見られてたような気がしたんだけど」
彼がそんな気になるのも当たり前だ。
だって、モモちゃんと二人であんなに見てたんだから。
目の前の彼じゃなくて、梶野くんを、だけど。
「あっ、そうか!君たち、もしかしてカジの知り合い?」
「……カジ?」
何かを閃いたように目を輝かせた彼に対し、
あたしたちはお互いの顔を見合わせてしまった。