好きになったのは、一匹狼でした。
「カジが街をぶらつく理由が、たった一度会っただけの女の子を探すためって……ぶぶっ」
「……笑いたきゃ笑えよ」
休日に梶野くんに会えて、あんなに舞い上がってたのに。
1年も想い続けてる女の子がいたなんて……
彼に好きな子がいないなんて信じていた訳じゃないけど、
そうならいい、そうであってほしいって思い続けていた部分はあった。
でも、好きな子がいるって知ってしまった今のあたしには……
もう先ほどの楽しさなんて、残っていなかった。
あたしの中にあるのは、持ちたくなかった黒い感情。
嫉妬と、絶望……だけだった。