Only One──君は特別な人──
そんなことを思いながら、コーヒーを飲み干した。


「──おかわりはいい?」

あたしのカップを見て大野さんが言う。

「あっ……。大丈夫です」

「そう。じゃあ、もうそろそろ出る?」

「……」

どうしよう。

出るということは、帰るっていうことだよね。


さっきまで、1人で帰るつもりでいたのに。

今度は帰りたくなくなってる。


きっと、1人になれば竜くんと彼女のことを思い出してしまうんだ。

家で孤独感だけを味わうことになるんだ。


そんなの嫌だ……。寂しすぎる……。
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