続・るーむしぇあ。
ただでさえ顔に出やすい私が、ずっと近くにいた樋口さんにバレてないわけないか。

でもなんか家族みたいな彼に知られたのはちょっと恥ずかしい。


私が目のやり場に困って顔を伏せていると、コポコポと何かを注ぐ音がして、それからよく知った香りが部屋に広がった。


「これ、お好きだったでしょう」


目の前に差し出されたのは紅茶の入ったマグカップ。

私がいつも家で飲んでいたものだ。


家で使っていたティーカップじゃなくて100円で買ったマグカップだけど、懐かしい気持ちでいっぱいになる。


「ずいぶんご苦労されたでしょう。寂しかったでしょう」


「……」


「もっと早く来て差し上げたかった」


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