あの日の恋を、もう一度
本編
卒業式を間近に控えた2月のある日。
『絢芽【あやめ】、ちゃちゃっと片付けちゃいなさい』と言われ、私は自分の部屋のクローゼットの中に押し込んである段ボールの中を広げてみる。
小学生の頃の卒業文集やクラス写真、運動会のハチマキやら何やらがごった返していた。
…そう、その中には、卒業アルバムも。
「……懐かしいな」
卒業アルバムを広げる。
少しだけ色が変わったそれは、もらった日から経った月日を表しているようにも思えた。
…それだけ、私は成長したということだ。
「…あ、……河合【かわい】だ」
中学の卒業アルバムに2人で映るのは、笑っている私と、彼。
懐かしい。
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