あの日の恋を、もう一度
「幸せになってるかな…」
そんな風に思えるようになったのも、これだけの年月が経ったからで。
私も、うまくいっているからだ。
彼氏はいないけれど、…大学は第一志望が受かった。
「あ…」
段ボールの中に出てきたのは、漫画。
それは、
「……知世【ちせ】ちゃんのだ…」
彼の妹のものだった。
彼と別れた後も、知世ちゃんだけは関係を続けていた。
漫画も、『これ読んでみて?』って知世ちゃんが借してくれたもの。
タイトルは、『Einmal mehr』
どうやらドイツ語のタイトルで、意味どころか読み方すらわからない。
結局、読めずじまい。