あの日の恋を、もう一度
「絢芽ちゃんは、どこの高校に通ってるの?」
「…旺華【おうか】学院です」
「旺華、と言えばサッカー部有名よね?FWの樋野【ひの】くんとか」
「あ、はい。私のクラスメイトの彼氏です」
「あら、そうなの?」
世間は狭いわねえ、という河合のお母さん。
本当その通りだ。
私には、彼らが羨ましくて仕方ない。
彼らは地位も名誉も全てモノにして。
何もかもすべてがうまくいっているのだもの。
「絢芽ちゃんは大学進学?」
「はい」
「そう。もう決まっているの?」
「はい、指定校で」
「そう、すごいわね」
聞きたかった。
『河合はどこの大学を?』と。
でも、別れたのにそんなことは聞かれなかった。
これも、プライド。
醜いプライドの塊なの。
どうしても、そんなものが邪魔をする。
―――結局、今も昔も変わってなどいないの。
「秀一【しゅういち】とはもう、何もないの?」
「え…?」
突然聞かれたその質問に、私はただびっくりしていた。