八神 零


ぐいっと思い切り引かれ、咄嗟に踏ん張ると思っていたより、足は痛まなかった。


手を素早く離し、また腰掛けた八神に細井は礼を言った。



「ありがとう…」

「やっば立てんじゃん」



鼻で笑われ、俯いた。

いつもなら横にかかる髪も今は降りてこない。




「…私……どうしよう…」



無視した八神は自分の手をジッと見ていた。

細井に触られた手を。




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