八神 零


八神は最後に柔らかく笑い、カタンと音をたて立つと歩きだした。


細井はハサミを見てから、八神の顔を思い出す。


自然と赤くなる頬を押さえ、グッと拳に力を入れた。




八神が…味方に感じた彼女は、自信を持って、家に帰った。



旧校舎には、ハサミと彼女のカラフルになった髪が散乱していて……去っていったはずの八神は彼女の背中を見送る。



不適に笑う八神は全てを悟るように旧校舎の鍵を指でクルクル回した。




立ち入り禁止、その看板を踏みつけながら。




< 56 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop