八神 零



「あ゛あ゛あ゛あ゛…………!!」

「うっせーな。チッ、もーいこー?」

「だねー。あーウゼ」



ガヤガヤと細井をおき去っていく女子達。


その背中を見送るとホッとして、自分の腕を見る。


赤く腫れ上がり、見たことのないような色の液体が流れ落ちる自分の腕。

痛みが凄く、動かせない。



涙で視界が狭い。


声を圧し殺し、泣く声は理科室に悲しく響いた。



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