八神 零


騒がしい教室をこっそり抜けた八神は苛立ちのまま、思いきり体育館の壁を蹴った。

パラパラと外壁が剥がれ、足が少し壁に食い込んだ。


八神は顔を歪めるが、痛さ故ではなく……



「…何で負けたんだ…何で気づけなかった…?」



辛い現実故に、だった。














細井の唯一の救いだった姉が、交通事故で死んだ。
それは、あの体育館裏でリンチに合う、前の日だった。



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