八神 零
なんの返答もない。
だが、確かにいる。
もう一度ノックする。
「……誰だ」
掠れた声が微かに聞こえてきた。
随分やつれているらしい。
「俺、八神零」
「…!?は、ありえ…」
ガチャリ、とドアが開いた。
ボサボサの白髪に隈ができた顔。
それでも端正な顔つきのエイトが俺の顔を見て目を見開いた。
「……ゼロ…」
「八神零」
食いぎみに被せると、うっ、と言葉を詰まらせた。
その呼び方は癪に触る。