シャッターチャンス
1-side暁-
明けない夜はない。
その日の朝は、特にそんな言葉が似合った。
今日も鬱陶しいくらいに晴れた空が広がっている。
布団から出たくない。
まだ眠り足りないし、窓から差し込む光が苛々を募らせて仕方がない。
総てを遮るように頭から布団を被ると、戒めるような声がした。
「にゃあ~」
一声そう鳴くと、飼い猫のミィが布団の中に入ってきた。
ミィを布団に招き入れ抱きしめて眠ろうとしたら、また鳴いた。
「なんだよ…」
眠たげな声でそう言って布団を上げると、ミィは出て行った。
しかし、しばらくすると何か口にくわえて戻ってきた。
赤いストライプのネクタイ。
そのネクタイを見た瞬間、閉じかけていた瞼が自然に見開いた。
そしてこぼれた溜息、波紋のように徐々に現実が広がる。
「…はぁ、だる…」