シャッターチャンス
「何度も言ってるけど、お前は何も悪くない。でも、お前の時間だけが止まったままだろ?」
手の色が変わるほどに拳を握っても、頭の血管が切れそうなほどに歯を食いしばっても、後から後から涙が零れていく。
しばらくの沈黙の中、諒さんは掠れるような声で言った。
「ごめんな、こんな言い方して。でも、今のままじゃお前のために…」
「うるさい!」
部屋中に響く大声で言葉を遮った。
零れて止まらない涙をお構いなしに叫んだ。
「やめて下さい!全部あたしが悪かった。全部あたしが奪ったんです。写真が残すものは、綺麗な思い出や楽しかった記憶ばっかりじゃない。
失くしたものは何一つだって帰ってきやしない!
それでも好きだから…。向き合わなきゃと思うから…。震える指で、それでもシャッターに指をかけ続けるけど、でも…」
「…悪かった…」
諒さんはそれ以上何も言わなかった。
泣きじゃくるあたしの横で、ただ黙って座っていた。