シャッターチャンス
1-side夢埜-
「夢埜、起きなさいよ」
今日もお母さんの声で目が覚めた。
いくつになっても朝は弱い。
眠たさと気怠さが頭を支配するけれど、今日ばかりはそんな事言っていられない。
部屋の壁に、皺がつかないように吊るされた制服。
赤いストライプのネクタイが気に入っている。
今日から、私は高校生になる。
楽しみと不安が交差して、胸の中にゆっくりマーブル模様を作る。