シャッターチャンス
お母さんに指摘された昨夜を思い出す。
まだ少し肌寒い夜の街を、上着も着ずに歩いてしまった。
一瞬思考を失いかけた頭に、小気味いい音が響いた。
体温計を見ると、期待を裏切らない38.6の表示。
溜息と落胆を一緒に持って、キッチンにいるお母さんの元へ向かう。
無言で体温計を見せると、今度こそはっきり溜息をついた。
「どうするの?今日行けるの?」
本当は歩くたびに吐き気が襲うほど辛かったが、幸い今日は入学式だけ。
一言「行く」と呟くと、着替えるために自室に戻った。