生徒会室まで来なさい。
私が頑として断っても、選挙管理委員という強力な味方をつけた亜紀は譲ろうとしない。
たぶん、半分、面白がってる。
「いいじゃん沙奈江、高校時代に青春しておこうよ!」
「生徒会に青春とか無くない!?もうあたし教室戻るから!」
そう言ってドアを振り向いたところでギョっとした。
今まで黙ってた委員の一人が、ドアの前で仁王立ちしていたのだ。
しかも、かなりの威圧感を放って。
「いいぞ坂田!」
「ナイス坂田!」
「グッジョブ坂田!」
息の合った声で、委員3人がドアの前の坂田委員を褒め称える。
坂田委員は誇らしげに胸をそらしてみせた。
これはもう、「立候補します」と言うまで、死ぬまでここに監禁されるパターンだろう。
「うーん、でもそろそろ1時間目始まっちゃうなー。
よし!沙奈江、とりあえずエア立候補しとけ」
「はっ!?そんなの絶対『エア』で済まないでしょ!」
「だーいじょーぶだーいじょーぶ!
他にも立候補者いるみたいだし、そしたら当選するとは限らないって!」
「へっ?だったら私、尚更立候補しなくていいじゃん…」
私がそう抗議すると、亜紀は両手を腰に当ててこう宣言した。
「演出だよ、演出!
対抗馬が居たほうが燃えるじゃーん!!」
…やっぱり、面白がってた。