初恋が実るとき・前編~あの夏を忘れない~
時々
花火と花火の間の
真っ暗な時間
ほんの一瞬
まもるさんの横顔を覗く
暗闇は
何故か
とても不安になる
まもるさんが消えてしまわないように
繋いだ手に
力を入れた
来年も
再来年も
その次も
ずっとずっと
まもるさんと
ここに来れますように
手をぎゅって握られたまもるさんは
あたしの方に顔を向けた
最後の花火は
とてもとてもたくさん打ち上がった
みんなが花火を見ている隙に
あたしとまもるさんは
短いキスをした
この一瞬が永遠に続けばいいのに
「来年も一緒に来ようね」
花火に向かってあたしはつぶやいた
花火の音で聞こえなかったのか
まもるさんは黙って
花火を見つめたままだった・・・