初恋が実るとき・前編~あの夏を忘れない~
そんなことにもつゆ知らず
あたしは無職になったことで
こっちに逃げてきただけだった



子供のころ
あんなに好きだったお兄ちゃんのことも忘れて



一生懸命生きるのは
けして悪いことじゃない


だけど
忘れちゃいけない大切なものも
きっとあるから


立ち止まってみるのも
時には大切なこと





「優香を迎えに行ったけど、その時事故にあって・・・」
さとるは続ける



「その後、意識が戻らないんだ
医者の話しでは、あと数日が・・・・」



あまりの冷たい現実に
床に一粒・・・小さな水たまりが出来た



< 65 / 83 >

この作品をシェア

pagetop