初恋が実るとき・前編~あの夏を忘れない~
嫌だ!!



最後なんて言わないで!
嫌だよ!

もう会えないってことでしょ!?


聞きたくない!
最後のお願いなんて聞きたくないよ!!


ずっと首をふって
泣きじゃくるあたしに


「あいしてる」



まさるさんの落ち着いた声が聞こえた


「ずるい・・・ずるいよ・・・」
こんな時にずるい




「も・・・1回言って」

そう言ったあたしにまさるさんは笑って言った


「大切な事は1回しか言わない」
涙がこぼれた顔のままだった

その代わりに・・・・



「ゆうか」
両手で包んだままの
あたしの顔を少しあげ


そっと口づけをした





あの時とおんなじ
優しいキスだった



ただ違ったのは
あたし達を包んでいたのは
雨ではなく



満面の笑みのお月様だったね




最初で最後の告白は
満月だけが知っている
2人だけの秘密になったね・・・・
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