second story
「わぁ、月がきれい…

やっぱりあの模様、うさぎに見えますね」

「金烏玉兎、だな」

「きんう、ぎょくと?」

「大昔の伝説だよ。太陽には3本足のカラス

月にはウサギが住んでるっていう言い伝えのこと」

「へぇ…太陽の方は初めて聞きました。

詳しいんですね」

「雑学好きだから、ね。

寒くなってきたしそろそろ帰ろうか」

ベンチから立ち上がった

ナオキさんがあたしに手を差し伸べた。

「あっ…、前の癖が出ちまった。ごめん、忘れて」

慌てて手を引っ込めるナオキさんに向かって

あたしも自分の手を差し出す。

「…恋人同士なら、手を握るのって普通ですよね」

「カナちゃん…」

「前のあたしには負けるかも知れないけど…

あたし、ナオキさんの事好きです」

手と手が触れた瞬間、

あたしはまた懐かしい気持ちを感じた。

失った記憶が戻ってくるのも

そう遠くない未来かも知れないな…
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