ヤンキー君とまさかまさかの同居!!?
わたしの血の気が一気に引いた。

「やめてっ!お願い!髪だけは!お願い!」


必死で訴えるわたしの声は届かずに片平さんはわたしの髪にはさみを近づける。


「だめ!」


涙目になりながら言っても片平さんには届かない。


「ふざけんな」



ものすごく低い声がわたしの耳に届いた。


大好きな声。間違えるはずがない。

女子トイレの入り口にいたのは息を切らした竜我だった。


「竜我・・・」

必死に声を絞り出すと竜我はずかずかと女子トイレに入ってきた。


「ちょっと、竜我!ここ女子トイレだよ!?」

片平さんが必死に止めても竜我は足を止めようとしない。


「おい、片平。お前ここで何してんだよ。はさみをひよりの髪に近づけて。」

竜我、怖い。

片平さんをトイレの壁に追い詰める。

「ごみがついてたなら手で取ればいいよな?」

竜我のほうを一切見ない片平さん。

竜我が片平さんの髪を持ち上げると片平さんはやっと顔をあげた。


ゴンッ!

すごい音が女子トイレに響き渡る。

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